名前がたまたま同じだからって翻弄されすぎてるって話

「もう子供に見えなくて困ってるよ」

この言葉を聴くために、私はどれほど待ったのか。
小牧教官が毬江ちゃんに耳元で囁く、何ともたまらないワンシーンだ。

図書館戦争ブックオブメモリーズがドラマで放送されたこの日は、私の18歳の誕生日だった。しかし実際そんなことはどうでも良かった。私はこの日、毬江ちゃんになる権利が必ずある。そう信じて私はこの日を待ちわびていたのだ。
それは、私の名前がこの毬江ちゃんと同じ名前であるからだ。

中学生の頃、私は有川浩の本ばかり読んでいたが、そのきっかけはどう考えても自分の名前にあった。たまたま寄った書店で、たまたま図書館戦争の文庫本を見つけた。タイトルに惹かれてその本の裏を見ると私と同じ名前の女の子がどうやら出てくるらしい。そんなことで購入を決めた中学生の私は、この図書館シリーズの沼にどっぷりと浸かってしまった。

笠原郁と堂上教官は無条件に好きになったがやはり一番衝撃が強かったのは、同じ名前なのに雰囲気も性格もかすりもしないような女の子である毬江ちゃんと小牧教官の2人だ。この2人というよりは、私が同じ名前だったから好きになっただけだと思う。私はこの時まで自分と同じ名前の子に出会ったことがなかったのだ。タレントのマリエくらい。だからこそだと思う。

本を読んでいる間、私はずっと毬江ちゃんの気でいた。いや、それは私じゃないよ、誤解しないでね。そんなことは分かっている。でも私はこの物語の毬江ちゃんのような恋がしたかった。当然無理だ。分かっている。けれども私はこの毬江ちゃんと小牧教官のせいで夢見がちになってしまったのだ。高校を卒業するとき花束を抱えて待ってくれる、その花束の中に一輪のバラの花を挿していた小牧教官のことが、完全に好きになっていた。

「私のことだと思ってもいい?」「もう子供に見えなくて困ってるよ」

実写化したら絶対にカットしてほしくない話だったが、映画となるとこの二人の話をぶっ込むのは厳しいだろうなとわかっていた。
でもそれがスペシャルドラマになって実写化すると知ったとき、私は歓喜に満ち溢れていた。
田中圭で!!!!!!田中圭が私を愛してくれる!!!!!!!!!(断じて違う)
しかも私の誕生日に!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


それがもの凄く嬉しくて嬉しくて仕方なかったから、私は未だに図書館戦争の余韻が消えていない。
小牧教官に恋をした中学生だった私と、受験勉強と部活に追われている高校3年生の私は惨めなほど変わっていなかった。


そんな気持ち悪いくらい私に好かれた小牧教官を演じた田中圭は今、月9で何ともまたもや私を陥れようとしている。
やはり毬江ちゃんと同じ名前というのは相当な影響を与えているようだ。
既婚者でしかも子持ちの田中圭に私はまたどっぷりと浸かってしまいそうな気がしている。

ああ。私、この名前でよかった。単純思考万歳。
お父さん、お母さん、ありがとうございます。